うたた寝できる理容室
「こちらこそ」精神
「こちらこそよろしく」など一般的にもよく使われる「こちらこそ」は親しみのある表現のため、逆に、ビジネスのようなかしこまった機会に使っていいのか迷ってしまう方もいるかもしれません。そこで「こちらこそ」の意味を解説して、一般的な使い方と併せてビジネスシーンでの使い方をご紹介します。
目次
****相手の気持ちを上回る
****敬語表現として使える
****例文
***********感謝された時
***********謝罪された時
****使うときのポイント
****丁寧な表現
****目上の人への使い方
****メールでの使い方
****就活にも活用!
****「むしろ」を使う言い方
****自分を強調する言い方
①「こちらこそ」の意味
「こちらこそ」は「こちら」と「こそ」に分けることができます。「こちら」の意味は、「私」か「私が所属している組織」のことを指します。また「こそ」は、その「私」や「私が所属している組織」を強調しています。つまり「こちらこそ」ということで、「私のほうこそ」という意味になります。
②「こちらこそ」の使い方と例文
「こちらこそ」は、相手が「ありがとう」などの謝意、または「ごめんなさい」や「すみません」など謝罪をしてきたことを受け入れて、自分も同じように思っていることを伝えるときに使います。時には、相手に謝意や謝罪をさせてしまった以上に、自分こそ謝意または謝罪をすべきだったと考えているときにも使います。
「こちらこそ」は、文字としてはフランクな表現に見えますが、ビジネスや目上の人に丁寧な表現として使うことができる言葉です。ただし、前後の言葉を省略してしまうと、失礼にあたる場合がありますので、「こちらこそ」を使う場合には、前後の言葉をしっかりと添えるようにしましょう。
相手が「ありがとう」と言った時の例
相手:「本日はお越しいただいてありがとうございました」
自分:「こちらこそ貴重なお時間を頂きましてありがとうございました」
相手が謝罪した時の例
相手:「先日はご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」
自分:「こちらこそ、管理が行き届かず失礼いたしました」
③「こちらこそ」を使ったフレーズ集
「こちらこそどうぞよろしく」
これから始まることについての「意欲」や「高揚した気持ち」を伝えるときに使われます。
「こちらこそお世話になりました」
「こちらこそお手数おかけします」
いろいろと世話をかけている、または世話をかけた相手に、感謝の気持ちを伝えるときに使われます。
「こちらこそすみません」
相手が謝罪してきたときに返す表現で、起こったことに対してお互いに悪かったという同調が感じられます。
お互いに非を認めあうことで、相手の謝意の気持ちを緩和されるので、相手を楽にしてあげる効果があるでしょう。
④「こちらこそ」のビジネスでの使い方
ビジネスでもよく使われる「こちらこそ」という表現ですが、注意しておきたいことは、何について謝罪や感謝をするのかを明確にすることと、「こちらこそ」という気持ちが過度になり相手に失礼にならないようにすることです。相手の謝意を受けて「こちらこそ」と返すと、自分と相手が対等になっています。顧客のような尊重すべき相手と自分が対等になることで、不快に思われてしまうことがあり、相手に対して無礼になります。
一方で、その言い方や振る舞い次第で相手を見下してしまうことがあります。自分にはそうした意図がなくても、大げさな言い方をすることで相手を不快に感じさせてしまいます。
「こちらこそ」を使う場合は、何に対して感謝または謝罪したいのかをはっきりさせて、その振る舞いも過度にせず、自分の立場や状況なども考えた立ち振る舞いにしましょう。
相手:(淡々とした口調で)今日の商談がはかどりまして感謝しております。ありがとうございました。
自分:(大げさにせず、相手の口調と合わせて)大変有意義なご提案をいただき、こちらこそありがとうございました。
「こちらこそ」を上司や目上の人に使う場合には、「相手のことをたてる」という意識を忘れないようにしましょう。使い方次第では相手を見下しているような印象を与えることになるからです。何について謝意や謝罪をしていることを明確にしたうえで、相手のお陰あることを強調するといった手法で、相手への敬意を表すようにします。
ビジネスメールでは相手に簡潔に伝えたいことを伝えることが大切です。相手に謝意を伝える場合も、「こちらこそありがとうございました」と書くだけでは「なにについて」感謝しているのかはっきりしません。
そこで、「○○していただき、こちらこそありがとうございました」のように、何について感謝しているのかを「こちらこそ」の直前に明確に書いておきましょう。
「こちらこそ」は目上の方に配慮すれば使ってもいい表現ですから、就活にも使える場面は多いでしょう。
例えば、OBやOGに会う機会があれば、OB側から「今日はわざわざ来てくれてありがとう」といった挨拶があるかもしれません。そんなときには、「こちらこそお忙しい中お時間を取っていただきありがとうございます」のように返答することができます。また会社の面接などでも、先方が挨拶をしてきたのに対して、「こちらこそ」で受けることができます。
丁寧なふるまいを忘れずに、「こちらこそ」を使ってはっきりとした返礼をできるようにしましょう。
⑤「こちらこそ」の類語
「こちらこそ」の言い換え表現として、「むしろ」を使って自分のほうにこそ謝罪または謝意すべきだったということを強調する言い換え方があります。
謝罪の例文:「むしろ、私のほうが至らぬことが多く、申し訳ありませんでした」
謝意の例文:「とんでもありません。むしろ、○○さん(相手)こそわざわざお越しくださってありがとうございました」
相手が感謝してきたのに対して、自分のほうこそ感謝しているという気持ちを伝えるために「自分」を押し出した言い回しをすることができます。
相手:「今日はお越しいただきありがとうございました」
自分:「とんでもございません。お邪魔させていただいたのは、私です。本日はどうもありがとうございました」
例文のように、何に感謝をしているのかを伝えた後に、その原因は自分だと伝える言い回しにより、「こちらこそ」と同じ意味である別の言い方ができます。
⑥まとめ
「こちらこそ」は日常的にもよく使われる表現だからこそ、社交辞令にならないように気を付けましょう。
特にビジネスでは、相手と同調を見せることになるので、本当にそれでいいのかを見定めたうえで、何について謝罪または謝意を示すのかをはっきりさせることが大切です。
また相手が目上の人ならば失礼にならないような配慮も必要です。使い慣れた表現だからこそ、使い方のポイントに気をつけながら使ってみましょう。